読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

世界の縁からこんにちは

いろんなことを書きます

人にやさしく

 私には少し年の離れた妹がいる。出産に立ち会うと約束していたのに、深夜だっため私は眠っていた。母が私を起こしてくれなくて、激怒したことを覚えている。名前は私がつけた。一緒にランドセルを選んだ。受験の時はお守りを渡した。辛いときには励ましあい、楽しいときには笑いあった。
 妹は今年、振袖を着る。二十歳だ。

 20年、というとどうしても頭をよぎるのは高橋健一さんだ。どう少なく見積もっても人生の3分の1をキングオブコメディと過ごしてきた私だが、高橋さんの今回の、今回までの犯行を擁護することは決してできない。長すぎる。
 私の制服が盗まれた、ならまだしも、仮に妹の制服でも盗まれていようものなら、「殺してやりたい」とすら思うだろう。妹はずっと私服校に通っていたからあくまでも仮の話だが、被害者のことを考えると、許されざる行為だ。もちろん彼の生い立ち、家庭環境はある程度知っている。だからといって、この犯罪が帳消しになるわけではない。

 「好きだった人に裏切られて可哀想」。今回の件で私が知人から掛けられた言葉の中で、最も多いものだ。しかし、私はその言葉に全く共感できない。何故だろうとずっと考えていた。

 一点目は「好きだった」。私は未だにキングオブコメディが大好きだ。だから「好きだった人」ではない。
 二点目は「裏切られた」。私は「芸人・高橋健一さん」に裏切られたことがあっただろうか?キングオブコメディのネタ、高橋さんの大喜利や文章、演技、なに一つ私を裏切っていない。励まされ続けてきたし、今も励ましてくれている。

 「高橋健一さん」は犯罪を重ねてしまったけれど、「芸人・高橋健一さん」が私を救ってくれたことは紛れもない事実だ。だからこそ割り切れなくて苦しいし、遣る瀬無い気分にもなるし、涙が止まらなくなる。心のどこかで「戻ってきてほしい」と願う自分がいることが、悔しい。

 キングオブコメディのネタ、「芸人・高橋さん」の大喜利等はなにも悪くないけれど、その根底には「高橋健一さん」が関わっている。「高橋健一さん」が悪で「芸人・高橋健一さん」が善などと、白黒ハッキリつけれるものではない。考えれば考えるほど混乱するし、哀しくなる。

 「芸人・高橋健一さん」とは何度かお会いしたことがある。いつも腰が低くて、眼差しは優しくて、大変にファン想いの方だ。彼は「自分なんかのせいでファンが哀しんでいる」という事実に苦しむだろう。だから私はこれ以上、「高橋健一さん」と「芸人・高橋健一さん」について考えるのはやめる。

 罪を償って、幸せに残りの人生を歩んでくれたらそれでいい。

 高橋さんについて考えなくなることで、思考のスペースが少し空く。そのスペースの分は、全て今野浩喜さんに使いたい。

 高橋さんが逮捕されたことを受けて金髪にしてくれた今野さんは、舞台のためか黒髪に戻っている。だが彼のTwitterのアイコンは未だに金髪だし、あんな一瞬のためだけに金髪にしてくれた。どこまでも男前だ。私は今野さんを応援していく。今までよりもさらに強く、深く応援していく。

 これから今野さんには沢山の言葉を掛けるだろう。「面白い」、「楽しい」、「ありがとう」、「大好き」…あくまでも今野さんに掛ける言葉だが、その奥底にはもう一人の人間がいる。今野さんには重い荷物を背負わせてしまい申し訳ない。だが、貴方のTwitterのアイコンが金髪であるまでは、その荷物を、無理のない程度でいいので背負って欲しい。図々しいファンのワガママだ。

 今日の20時からNHK総合で『真田丸』が始まる。こんなにも大河ドラマを楽しみにしているのは、生まれて初めてだ。

 纏まりのない文章の最後に、紹介したい歌がある。PUFFYの『人にやさしく』だ。
ーやさしさだけじゃ 人は愛せないから ああ なぐさめてあげられない/期待はずれの 言葉を言う時に 心の中では ガンバレって言っている 聞こえてほしい あなたにも ガンバレ!ー

 今野浩喜さん、ガンバレ!